2026.05.22

「ラウンド後、腰や肩がバキバキ...」​を防ぐ。青学駅伝部を支える鍼灸師が​教えるゴルフストレッチ

「ラウンド後、腰や肩がバキバキ...」そんな悩みを抱えるゴルファーは多い。実はゴルフスイングは、身体への負荷が大きい特殊な動き。青学駅伝部などを​多くのアスリートを支えるトレーナー・吉田博信氏が、​日常に取り入れたいストレッチから、ラウンド当日に効く簡単ケアまで紹介する。

「ラウンド後、腰や肩がバキバキ...」​を防ぐ。青学駅伝部を支える鍼灸師が​教えるゴルフストレッチ

ゴルフは"想像以上に身体を酷使するスポーツ"だった

真摯なアマチュアゴルファーほどゴルフ練習場に足繁く通い、毎回100〜200球は打ちこんでいる。また、ラウンド中はアップダウンのあるコースを数km歩きながら、スイングを繰り返す。スキルアップという向上心から、そんなハードワークを自らに課しているのだろう。

ところが、 ゴルフというスポーツの"楽しさ"も相まって、そうした運動量がオーバーワークであることに気づいていない人がたくさんいる。

「ゴルフのスイングは、上体を大きく捻転し、クラブ=腕をダイナミックに振り回します。さらに、動いている部位を急に止める動作も強いられる。また、右利きの人 は"右→左"という偏った動きが繰り返されます。こうした身体の使い方は、普段の生活では、ほぼあり得ないでしょう」と注意を促すのは、青学駅伝部メンバーをはじめ、多くのアスリートのコンディショニングをサポートしている吉田博信氏だ。

特殊な動きを繰り返すゴルファーの身体には、想像以上に負担が蓄積している。だからこそ、ストレッチで筋肉や関節を解放し、状態を整えることが重要なのだ。

 「大きな捻転に必要不可欠な腰と背中、クラブを振るための肩や腕 のストレッチは特に大事です。加えて、アップダウンのあるコースを歩くため、下半身もケアしたほうがいいでしょう。ストレッチを行う際に注意してほしいのは、決して無理をしないこと。無理に伸ばそうとして力を入れると、内臓に負担がかかったり、他の部位を痛めたりする可能性があります。 ゆっくりと息を吐きながら『気持ちいい』と感じるくらいがベスト。 また、自分の力で身体の部位を伸 ばそうとせず、自重を利用して伸ばすというやり方も効果的です」

今回、吉田氏は〈日頃から行うと効果的なストレッチ〉と、〈ラウンド当日に効くストレッチ〉を紹介。ぜひ試してほしい。

青学駅伝部
吉田氏がサポートする青学駅伝チームは、2026年の箱根駅伝で3連覇を達成。圧巻の走りを見せた5区の黒田朝日選手をはじめ、全選手が力強く完走し、見事な結果を残した。そこには、吉田氏の的確なコンディショニング調整が大きく活かされている。

1.腸腰筋&腹斜筋ストレッチ|"捻転力"を高めてスイングを安定

腸腰筋は上半身と下半身をつなぎ、体幹の安定や姿勢の維持を行うインナーマッスル。腹斜筋は腹の横にある筋肉群で、身体を捻ったり横に 曲げたりする動作に関わっている。

このふたつの筋肉を適切にストレッチすることで、アドレス が安定し、ゴルファーに欠かせない「上体の捻転」が、スムーズかつ力強く行えるようになる。

腸腰筋&腹斜筋ストレッチ|
<1>膝立ち(左右の膝は直角)の姿勢で、上体を真っ直ぐに起こす。その状態から骨盤を前傾させるようにして、腰を前に押しだす。お腹~太ももが伸びていることを意識すること。<2>両腕を頭上に伸ばし、息を吐きながら4秒かけて上体を捻る。この動きを左右5回ずつ行う。腸腰筋と腹斜筋を同時にストレッチすることができるうえ、双方の筋力アップにもつながる。

ラウンド前におすすめ|"両手ぶらぶら"で力みを抜く

朝はコースまでの運転とプレーへの緊張で、身体も心もこわばりがち。そんな時は、両手をデンデン太鼓のようにぶらぶらさせるとよい。30秒ほど行うだけで、上体の力みが抜け、気分も自然とリラックスしてくる。

ラウンド前におすすめ|

2.胸椎ストレッチ|上半身の可動域を広げる

胸椎は背骨の中程にあり、12個の骨で構成されている。肋骨とつながって胸郭というカゴ状の構造を形成し、心臓や肺といった臓器を保護する役割を担うほか、姿勢の維持や衝撃を和らげる機能もある。胸椎の柔軟性を高めると、上体の姿勢や動きが整う。

胸椎ストレッチ|上半身の可動域を広げる
横向きに寝て、膝は緩く曲げる。下の腕を頭の方向へ伸ばし、逆の手を肋骨の下に添える。その姿勢から息を吐きながら10秒かけて、上体を後方へ捻る。"胸(肋骨)を開く" ようにイメージし、左右5回ずつ行う。

3.足底筋膜ストレッチ|18ホール歩ける足をつくる

踵(かかと)から足の指の付け根にかけて扇状に広がる足底(そくてい)筋膜は、土踏まずのアーチを支え、歩行時の衝撃を吸収する大事な役割を担う。アップダウンのあるコースを長く歩くゴルフは、この足底筋膜を酷使しがちだ。適切なストレッチは疲労を緩和するとともに、安定した歩行をサポートする。

足底筋膜ストレッチ|18ホール歩ける足をつくる
片膝立ちになり、テニスボールなどの球体を土踏まずに置く。体重をかけながら、足指を上下に動かす。左右10回ずつ。次に球体を指の付け根に置き、指先を上に反らした状態から足を前に滑らせつつ指先を下へ曲げる。左右10回ずつ行う。

ランチ前後におすすめ|"腕裏伸ばし"で前半の疲れをリセット

前半を終えたら、腕のストレッチを行うのがおすすめだ。

ランチ前後におすすめ|
頭の斜め上方に手を伸ばし、小指を壁に当てる。その姿勢から、息を吐きながら約4秒かけて肩を前に押す。脇の下が伸びるのを意識しながら、左右5回ずつ行う。

4.菱形筋&前鋸筋ストレッチ|肩甲骨を動かして飛距離アップ

菱形筋(りょうけいきん)は背骨と肩甲骨をつなぐ筋肉で、前鋸筋(ぜんきょきん)は 肋骨から肩甲骨の内側の縁に付着する筋肉。

このふたつは姿勢の維持にとても重要な役割を担うとともに、「
上体の捻転」にも関わっている。菱形筋と前鋸筋をストレッチして柔軟性を高め、可動域を広げることで、アドレスの安定やスイングスピードの向上に効果がある。

菱形筋のストレッチ
まず、壁の角が体の右側にくる位置に立つ。左手を伸ばして手のひらを壁の角に添え、右手も伸ばして左手に重ねる。その姿勢のまま、息を吐きながら4秒かけて、肩を時計回りに捻る。肩甲骨の間が伸びていることを意識しながら、左右5回ずつ行う。
肘を曲げて後頭部に手を添え、曲げた肘を壁につける。息を吐きながら4秒かけて肘の位置を上げていく(身体を壁に近づけるのがコツ)。脇の下が伸びるのを意識すること。左右5回ずつ行う。

プレー後におすすめ|"首・腕一直線ストレッチ"で疲労回復

帰りのクルマに乗りこむ前、首から肩、腕のストレッチを。
ストレッチ|プレー後は
右腕を下方へ伸ばし、左手で頭を押さえる。その状態から息を吐きながら4秒かけて頭を左へ傾けながら、右腕を外側に捻る。左右5回ずつ。首や肩の凝りが和らぎ、運転が楽になる。

Y`s鍼灸整骨院・吉田博信院長

Y`s鍼灸整骨院院長・吉田博信
Y`s鍼灸整骨院院長・吉田博信
柔道整復師・鍼灸師・トレーナー。青山学院大学陸上部で長距離を走っていたこともあり、 青学駅伝チームのコンディショニングの調整を担うサポートメンバーも兼任。アスリート だけでなく、一般の人たちの身体のケアも行っている。■Ýs鍼灸整骨院住所:東京都 渋谷区代々木5-7-17 2FTEL:03-6407-8458

文:POW-DER 写真:坂下丈洋 イラスト:平松 慶

関連記事

足首を整えてスイングを安定させる。関節のプロが教える

足首を整えてスイングを安定させる。関節のプロが教える"ゴルフに効くジョイン活"

ゴルフのスイングで意外と重要なのは“足首”。世界のトップアスリートも信頼する角田…

View More
足首のコンディションを整えてスキル&スコアアップ!【関節の神さま×レッスンの達人スペシャル対談】

足首のコンディションを整えてスキル&スコアアップ!【関節の神さま×レッスンの達人スペシャル対談】

骨や関節に特化した代替(補完)医療で世界中のトップアスリートから支持を得るなど、…

View More
ゴルファーのための爪ケア【実践編】

ゴルファーのための爪ケア【実践編】

最近、爪の重要性に注目しているアスリートが急増中。そこで爪管理士の三和田 恵さん…

View More